フェルミ推定(Fermi estimation)は、正確なデータが不足している状況でも、大まかな見積もりを行うための方法です。物理学者エンリコ・フェルミにちなんで名付けられ、複雑な問題をシンプルな仮定に分解し、概算を行います。
基本的な手順
- 問題の定義: 解決したい問題を明確にします。例えば、「東京にピアノ調律師は何人いるか?」という問題を考えます。
- 主要要素の分解: 問題を簡単な要素に分解します。ピアノ調律師の例では、以下のような要素を考えます。
- 東京の人口
- ピアノを所有している家庭の割合
- 1家庭あたりのピアノの数
- ピアノが調律される頻度
- 1人の調律師が1年間に調律できるピアノの数
- 数値の見積もり: 各要素の数値を見積もります。
- 東京の人口:約1400万人
- ピアノ所有率:約1%
- ピアノの調律頻度:年1回
- 調律師の年間調律数:約1000台
- 計算: 各要素を組み合わせて最終的な見積もりを計算します。
- 東京のピアノ数 = 1400万人 × 0.01 = 14万台
- 必要な調律師の数 = 14万台 / 1000台 = 140人
フェルミ推定の利点
- 迅速な見積もり: 複雑な問題に対して素早く概算を得ることができます。
- 不確実性の管理: 各要素の見積もりに不確実性があっても、全体の見積もりには大きな影響を与えにくい。
- 問題理解の促進: 問題を分解することで、重要な要素や影響因子を明確に把握できます。
応用例
フェルミ推定は、ビジネス、科学、エンジニアリングなど多くの分野で利用されています。市場規模の推定、新製品の需要予測、資源の必要量の見積もりなど、多岐にわたる問題に対応できます。
まとめ
フェルミ推定は、限られた情報から合理的な見積もりを行うための強力なツールです。シンプルな仮定に基づいて問題を分解し、見積もりを行うことで、迅速かつ効果的な意思決定を支援します。
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